Web調査―コラム
PPI(Patient and Public Involvement=患者・市民参画)とWeb調査
調査研究コンサルティングチームの板垣です。昨今、医学系研究におけるPPIに焦点が当たってきていますね。
Web調査の実施はPPIを促進します。要点をまとめてみました。
PPIとその重要性
近年、医学研究における「患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)」が注目を集めています。PPIは、患者や一般市民を研究プロセスに積極的に関与させることで、研究成果が実社会により適切に反映されるよう努めるアプローチです。研究計画立案時から、PPIの取組を検討するよう要請されてきており、競争的研究費獲得のためにも重要な要素になってきています。
Web調査のPPIの観点でのメリット
Web調査を実施する事自体が、患者や市民から直接意見を集めるための効果的な手段です。地理的な障壁を越えて広範囲の参加者にアクセスすることが可能となり、多様な背景を持つ人々からの貴重なデータを収集できます。参加者の利便性を高め、物理的・時間的・心理的な障壁を取り除くことで、よりインパクトのある成果も期待できます。適切な配慮を行う事で、これまでアプローチできなかった(意見表明の機会がなかった)対象者からも、リアルな声を集め、研究に活かすことが可能になるでしょう。
Web調査の計画と調査実施
Web調査の計画には、明確な目的設定と適切な質問の構築が必要です。研究目的に沿った質問を設計し、患者や市民が容易に理解できる言葉を用いることが重要です。調査の実施に際しては、プライバシー保護とセキュリティ確保を行い、丁寧な説明を行うことで、参加者が安心して回答に参加できる環境を整える必要があります。
回答者の負担を最小限にするため、例えば20代の方のみが回答する設問を回答に応じて表示・非表示にするなど、洗練されたWeb調査プラットフォームを用いる事も重要になってきます。
調査結果の公開・フィードバックツールとしてのWebサイト
Web調査を実施する際に案内したWebサイトを通じて、調査結果の公開を行う事も可能です。調査結果の公開は、調査協力者への感謝を示すことでもあり、また、得られた結果をわかりやすく伝えることで、研究成果の質が高まります。研究協力者や一般市民からもフィードバックを貰えるかもしれません。そういった取り組みは、次の研究課題の検討に直結します。
以上のように、Web調査とWebサイトを有機的に連携させることで、PPIの取り組みに直結すると考えています。
調査中からでも導入できるPPI
既に調査を実施中、もしくは実施済でも、結果を公開するためのWebサイト制作を行う事が可能です。場合によっては、調査スケジュールを見直してでも、Webサイトを作成した方が、いい成果につながるかもしれません。
弊社では、Web調査を実施する際、調査概要を案内する簡便なWebサイトの制作も積極的にご提案しています。そのWebサイトをフル活用した取組についても、経験豊富です。
例えば、HIV陽性者を対象としたWeb調査を行うため、HIV陽性者の視点から世の中のコンテンツをまとめたポータルサイトを作成しました。そのポータルサイトを広報としても活用してWeb調査を実施の上、調査結果をそのWebサイト上にて広く公開しています。