逸脱事例対応の実際
モニタリング担当者(DM担当者含む)は、試験中に逸脱が確認された際は、速やかに関係者へ報告し、予防措置を提案するなど適切な対応を取ることが望まれますが、逸脱自体あまり好ましくない状況のためか、DM担当者として正確な情報収集と適切な対応までにかなりの時間を要することもあるかと思います。
普段からどのように逸脱事例に向き合っていくべきか、について私なりに書いてみたいと思います。
<逸脱になるか否か悩んだら、先ずは一報することを心掛ける>
逸脱に関係した当事者は反省とともに不安な気持ちとなり、できれば公にしたくない心境になることも予想されます。また一方では、これくらいなら大丈夫だろうと開き直ったり、あるいは逸脱をした自覚すらない場合もあるかもしれません・・・。関係者の方々の様々な思惑や心境の変化も重なり、また逸脱の発生は必ずしも明確でない場合もあり放っておくと気付かれず埋もれてしまう可能性もあります。
私たちデータマネージャーは、常に試験全体に目を配って運用に携わる役割と責任のもと、品質管理の推進者として、逸脱の発生を敏感にキャッチしたいものです。私はその一つの方法として、逸脱(と思われるような事象)を感知した場合は、先ず「関係者への一報」を行うことを最優先に考えるようにしています。
一方でその「関係者への一報」も、条件反射的に推測や憶測の混じった表現でやみくもにお知らせすると混乱を招いてしまう可能性があるので、事実に基づいて丁寧にお知らせするよう心掛けています。
具体的には、直ちに逸脱と断定せず「逸脱の可能性がある」事象、として「関係者への一報」を行うようにしています。
前述の「事実に基づいて丁寧に」という部分で矛盾があるかもしれませんが、初動として少しでも早いアクションを興すことが大切で、そうすることで当事者からの情報提供が得やすくなったり、詳細な状況を早く把握できたりもします。さらに副次的効果として、試験に関わる方々への注意喚起にもつながり、試験に取り組む姿勢やあり方を見つめ直す良い機会になることもあります。
<逸脱の取り扱いは、解析結果にも影響を与える重大事>
逸脱の有無は、「適格性(適格・不適格)」の有無と並んで、データの採否に影響を与える、その意味で解析結果にも影響を与える重要な要素となります。
日々膨大かつ様々なデータに関わり目配り気配りをするデータマネージャーとって、メールを一本書いてお知らせするべきかどうか、時には後回しにして失念、報告への迷いが生じることもあるかもしれません。その都度、解析結果にも影響を与え得る重要なことであることを念頭に置きつつ、「関係者への一報」 を失念し逸脱の取りこぼしがないようにしたいものです。
<逸脱を見逃さない姿勢を養う>
逸脱の発生を敏感にキャッチするために、現場での個々の判断の中で「恣意的に過小評価を行う可能性はないか?」ということも、いつも念頭に置いておくことが重要と考えています。 確信が持てず迷ったり不安な場合は、「関係者への一報」の初動と同様に、チームで相談や検討ができる環境を作っていくことも常日頃から大切にしていきたいと思っています。
以上です。
今回は、逸脱事例対応の実際についてでした。今日も皆さまの試験がうまく回りますように。