臨床試験におけるEDC収集データの正確性の確認
研究観察期間も終了フェーズに入ってくると、これまで収集されたデータに誤りがないか不安になってくるものです(例えば、検査値の異常値、日付の不整合、評価項目の不整合など)。
確かに、開始から終了まで日々データチェックを実施しており、またモニタリング報告を実施したりする過程で、データの誤りに気付くタイミングは沢山あるように思います。
今回は、それでも発生してしまうデータの誤りに対して、私たちが終了フェーズでどんな点に注意し、どんな項目をチェックしているのかについてお話したいと思います。
<注意すべき観点>
●「不適格な症例やその可能性のある症例」が紛れ込んでいないか。解析対象集団の判断に重要な事項なので、事前に振り返って確認する必要があると言える。
●「逸脱事例」は、症例の取り扱いにも影響を与えるので、症例検討会での議論に耐え得るように周辺情報の入念な収集と、内容に不整合がないかなどを確認する。
●「登録後、プロトコル治療が一度も実施されていない症例」は、解析対象集団の判断に影響を与える重要な事項となるので、事前に把握しておいた方が良い。
●「同意撤回症例」(プロトコル治療後に同意撤回がされたケース)は、同意撤回する前のデータの利用可否はきちんと確認しておく。
●「本登録に至らない症例」(仮登録症例が該当)は、経緯や原因を事前に究明しておく。
もしも本登録の手順が分からないために(あるいは本登録になっていると勘違いしていたなど)仮登録のままにしておいた場合、取り返しがつかないことになる。
●「重篤な有害事象」は、SAE報告書が提出済みであるとともに、EDCでもデータ収集されているかの確認は必須。年次の定期報告が予定されている場合は、不整合がないようにしておきたい。
<注意すべき観点>
➀ 登録適格基準/除外基準への抵触の有無
➁ プロトコル治療中止理由(死亡や増悪イベントの発生、有害事象の発現等)と、その他のデータとの整合性
③ 有害事象名の報告語は適切にコーディングできるか(曖昧な有害事象名になっていないか)
④ 有害事象に関する転帰追跡は十分に実施されているか(例えば、重篤な有害事象は転帰が「回復」に至るまで追跡する必要があったりするので要注意)
⑤ SAE報告症例のEDCへの入力漏れはないか
⑥ 有害事象の発現日と転帰日に日付の逆転はないか
⑦ 治療日や来院日は日付順になっているか
⑧ 臨床検査の検査値に異常値はないか
以上のように、予め注意すべきポイントを押さえ、具体的にチェックする項目やその内容に落とし込んで対応しています。
今回は「臨床試験におけるEDC収集データの正確性の確認」についてお話ししました。
今日も皆さまの試験がうまく回りますように。